リンネのリネン・ナガサキリンネについて

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「長崎は何もない」。長崎で暮らす人からそう聞いたことは一度や二度ではありません。しかし一方では、「長崎はいいまちだね」と長崎を訪れた人は口ぐちに言います。その言葉を嬉しく感じながらも、温度差を感じているのは私たちだけではないと思います。観光都市長崎は、観光客の人にとってだけ「いいまち」になってしまったのでしょうか。でも、もしかしたら、このまちに暮らす私たちのほうが、本当の長崎の良さを知らないのかもしれない。ここ数年、そう考え始めた人も少なくないことを感じています。

長崎は観光都市という事実はこれからも変わらないでしょう。しかし、長崎には観光という糧に頼らず、毎日自分の技を磨き、手を動かし、真摯にものづくりを続ける人。先人が大切にしてきた伝統や文化を次に伝えようとしている人。晴れの日も雨の日も自分の味に妥協せず、メニューを用意してお客様を待つレストランやカフェ。美味しかったよという声を聞くたびに、その食材は安全なのかと追及し続ける生産者や食品加工業の人たちがいます。そして、そういう仲間と一緒に長崎の環境や暮らしを少しでもよくしたいと考え行動している人たち。そんな人たちもこのまちを作り、この長崎を支えていることを忘れてほしくないと思うのです。

「ナガサキリンネ」が伝えたいのは、“自分たちの暮らしを作るのは自分である”ということ。そしておなじ時に、おなじまちに暮らす人たちとめぐり繋がることで、毎日が楽しくなり、自分の暮らしに自信を持ち、何より心からこのまちに暮らしてよかったと実感できるようになればと願っています。私たちの暮らす長崎の、素敵な人たちと出会うこと。それが私たちの誇りとなり、「長崎はいいまち」と心から胸を張って言えることにきっとつながると信じています。

19世紀の史実に基づき復元が進んでいる国の史跡である「出島」は、今は塀で囲まれ市民の人が自由に入ることが出来ない場所になっていますが、以前は川沿いの小道を散歩する姿が見られる憩いの場でした。「ナガサキリンネ」を、同じ出島町にある長崎県美術館と国指定史跡「出島」の2会場で開催する事で、江戸時代の人たちが新しい文化に出合ったように、今の長崎に暮らすわたしたちも、まるで自分たちのまちを旅をするように、人やものと出合いつながる事の楽しみを、心から実感する時間をつくる事ができたらと強く願っています。

ナガサキリンネ スタッフ一同