昨年の秋、出島に130年ぶりに架かった橋を渡る人たちの熱気で包まれていた、出島表門橋公園には、この冬に新しく植えれた若木が立ち並び、これから迎える新緑の季節を待ち望んでいるようです。忙しさに急き立てられたり、満開を迎えた桜に気を取られるこの3月の終わりは、不意に訪れる別れや、新しい出会いに驚かされる季節ではありますが、私もこの春でナガサキリンネを卒業させていただく事になりました。
私はものづくりに携わる職人の皆さんが、直接使って下さる方たちと繋がる場を作りたいという願いを形にする役割を担うひとりとして、立ち上げから関わらせてもらいました。春の嵐が吹き荒れた、2012年3月の第1回目から、昨年11月の出島表門橋開通祝賀イベントに合わせて開催した第5回まで、日程や会場を変更しながら試行錯誤してまいりましたが、前回の開催を持って、基本的な方向性が固まり、発起人の人たちへバトンを渡すタイミングと考え、代表を退く事にいたしました。ナガサキリンネはこれからも継続し、ナガサキリンネ実行委員長の松尾篤行が、市民団体であるナガサキリンネの代表となります。次回の開催については、改めてご報告があります。
みなさんと同じく、私自身もナガサキリンネを通じて、多くの素晴らしい出会いをいただきました。リンネを介して様々な分野の方たちとお会いできる機会も多く、リンネを通じて繋がった方々と、長崎の街角や国内外で交わす挨拶や笑顔が増えるたび、長崎に暮らす一人の人として、ナガサキリンネのある自分のまちが愛おしく、時には誇らしく思えるようになりました。それは7年前の発足時に、私たちが思い描いていた「ナガサキリンネがある長崎の暮らし」が実現した事を感じられる嬉しい瞬間でもありました。
最後に、発足時から常に惜しみなくご協力の手を差し述べてくださった長崎県美術館や出島の関係者の方々、企画展やワークショップ開催にご支援頂いた皆さま、その他リンネを通じてお世話になった方々に、この場を借りてお礼を申し上げます。リンネからは離れてしまいますが、出店者の皆さんやボランティアスタッフの方たちには、変わらずおつきあいして頂けたら嬉しいです。これからは誰よりもスタッフの近くにいる応援団長として、リンネのテントが並ぶ秋の長崎を心待ちにしています。
松井 知子
ギャラリー「List:」オーナー