特別展「Indigo:Sharing blue」について




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いよいよナガサキリンネまであと2日となりました。出島で開催する特別展「Indigo:Sharing blue」も、メイン会場と同じく週末の2日間開催します。先日オランダから届いたメールには「We are almost ready for take off, we’re so exited!」と書いてあって、早いもので今日のお昼にはもう長崎に到着することになります。今回来日するのは、オランダのクラフトカウンシルというNPOの女性3名。写真はアイントホーフェンで開催されたオランダ最大のデザインフェスティバル「ダッチデザインウィーク」で、このプログラムの発表された時のものです。30日に展示が終わったその足ですぐさまこちらに向かっているというかなりハードなスケジュールなので、3人が飛行機の中でゆっくり体を休められたらいいなと思っています。私が代表のマリオンと会うのは、2月のアムステルダム、4月の九州に続いて今回で3回目です。春に嬉しそうに私のギャラリー買ってくれた会津木綿のスカートを、滞在中に履いてくれたらいいなと密かに楽しみにしています。

MONOJAPAN行きが決まった後にやりとりが始まった、ダッチカルチャーやオランダ大使館の方から、オランダにはクラフトカウンシルというNPOがあって、ナガサキリンネの私たちの考えと似ているからぜひ会って欲しいと言われていました。そしてマリオンとの出会いは、プレスレビューの時間に入ってきた背の高いカップルに、私が「ここは長崎の工芸を主に展示している部屋です」と伝えたら「nagasakirinnne?」と聞かれて驚きながら、聞いていましたと自己紹介をしたのが最初です。そしてMONOJAPANの会期後に私たちが滞在したアムステルダムのアパルトマンに約束の時間きっかりに現れたマリオンに、ヨーロッパに行くと、時間や約束で痛い目に会う事が多かった私は、オランダ人って時間を守るのねと、ちょっとホッとしたのを覚えています。

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さてそんなマリオンが仲間と立ち上げたオランダクラフトカウンシルは、オランダ国内の工芸に関する知識の喪失の危機感から、工芸にまつわるさまざまなプログラムを行っている非営利組織です。ここ数ヶ月学んだ、この100年ほどのオランダの工芸についての流れは、経済的な要因のタイミングは違ったりしても、日本も含めた先進国は同じようなもので、共に同じ悩みを持っている仲間でもあります。とは言っても、私がオランダ人らしいのは、ターニングポイントのたびに、保護や守りではなく、時には急カーブと思えるほどの革新をしていったこと。まだオランダに縁ができて1年弱しかありませんが、私がこれまで出会ったオランダ人の口からは、フレキシブル、イノベート、コラボレーションという単語がよく出てきます。もちろん持続可能な事がベイスではありますが、そこに面白いこと、楽しい組み合わせを自分なりにプラスしながら、嬉しそうに次々と新しいドアを開けていくオランダの人たちのエネルギーは相当なものです。

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私たちのアムステルダム市内の滞在先を訪ねてきてくれたマリオンは、オランダ国内の工芸技術を持った人のマップを作りも一つのミッションだと語り、そしてオランダ国内には、天然染めの工房が無く染めの技術がオランダでは失われつつある事もあり、藍染を中心にした日本のテキスタイル全般について、とても興味を持っていました。そして4月に九州を訪れた時、オランダの国内とほぼ同じ面積を持つ九州の島に、染めの他にも陶磁器、竹や、その他多くの伝統工芸が残っている事に驚き、宝物の島だと目を輝かせがら語っていたのは印象的に残っています。その後、彼女たちがオランダでも行っている’Meet the master’というプログラムの日本版として、今回の「Indigo:Sharing blue」というプログラムが立ち上がり、この夏九州の藍染、染色マスターの元に、4人のオランダ人デザイナー、クリエーターを送り込み、技術を学びながら作品の素材づくりを行ったのです。

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実はこの話を最初に聞いた時、3週間の短い期間にどれだけできるのか?と心配していました。しかしそんな心配は無用だったようで、レジデンスを受け負った方たちは、みんな本当にプロフェッショナルで、そして私と同じく、オランダ人って真面目なんだねと言っていたのには笑ってしまいました。藍染の技術を学ぶと説明されていたけど、事前のリサーチをしっかりし、最初からそれぞれの仕事や活動を基本に「この工房の技術を使って自分が何を作るか」と言うイメージが明確にあったと言います。大量の材料を持ち込んだ人もいて、何を作るか迷いがなかったと振り返ります。4人で用意された古い日本家屋に自炊しながら住み、まず近所のリサイクルショップで自転車を1台ずつ買い(オランダ人らしくて私が大好きなエピソードです)、八女の久留米絣、隣町の三潴郡の藍染工場、そして遠くは吉井町の久留米絣のマスターの所へと、日本の蒸し暑い夏をものともせずみんなで走り回っていたと言います。2週間目に長崎に会いに来てくれた時に、京都へ行ってくと言っていたファッションデザイナーのパリコレクションでは、モデルが藍で染めた服を着て、ランウェイでは舞妓さんの駄を履いて歩いていました。このスピード感がオランダらしいなと、私はまたもやその自由さに感心し、今回参加している人たちのレベルの高さをみんなが帰国してしまった後に驚いたものです。そんな4人の作品が、この特別展では展示されています。そして今回のプログラムは、2国間で作り上げた作品がプロダクトとしてマーケットに出ることを目的としています。長崎の展示後、日本国内での巡回展を行う可能性を探るため、マリオンたちは東京に向かいます。現実的で経済的な指標や目的をしっかり持つオランダ人なので、きっと新しい扉を開いていくことと期待しています。

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今回の特別展は、国指定史跡「出島」の中で行う唯一の企画展です。彼らの展示が決まった時にはすでに、今回のナガサキリンネは美術館会場のみと決まっていました。でも私はやはりメイン会場から離れているけど、世界と日本の工芸の交流の場となった出島でやりたいと強く思いました。そしてありがたいことに、出島復元整備室のご協力により、出島内に公開されたばかりの、美しい唐紙の襖が復元された建物「乙名詰所(おとなつめしょ)」内での、初めての企画展として発表できる、素晴らしい機会をいただきました。同じく隣接する6つの建物はすべて、現存する当時の模型をもとに、日本でも有数の伝統構法の大工さんや伝統工芸師の高い技により、緻密に、そして美しく復元されています。ずらりと並ぶ新しい19世紀の出島の街並みとともに、今回の特別展も楽しんでいただけたらと思います。そして、展示に際しては、MONOJAPANの時と同様、オランダと長崎の文化交流事業を行っている長崎バス観光振興財団からサポートをいただいています。またこのプログラムはオランダの工芸やアートにまつわるオランダと九州の交流プログラム「オランダ九州プログラム」の一つであり、また加えてオランダ大使館のサポートにより、クラフトカウンシルの3人を、はるばる長崎に迎える事ができました。長崎とオランダ両国の、文化や工芸、アートを愛する方たちのご協力を経て、この企画展の開催が可能となりました事をとても嬉しく思っています。そしてこの場を借りまして、ご協力いただきました皆様に心から感謝申し上げます。

そして、6日(日)の13時から、この夏彼女たちの制作の場に立ち会った染物工房から代表の方をお招きして、マリオンと共に、今回のプログラムについて振り返りを行う時間を設けました。出島の入場料以外に観覧料や報告会への参加費はかかりません(長崎市民のみ「広報ながさき10月号」添付のクーポンで無料。その他はナガサキリンネのDM&フライヤー提示で団体料金410円)。また会期中は、マリオンと一緒に来日した二人のスタッフも出島の会場で皆様をお待ちしています。もちろん英語でも構いませんし、通訳もおりますので、ぜひ感想や質問などを、気軽に彼女たちにしてみてください。今回のプログラムだけではなく、オランダについても色々教えてくれると思います。そして彼女たちにぜひ長崎のおすすめの場所や、美味しい食べ物などを教えてあげてください。かつての出島で、オランダ人と日本人がお互いの工芸品を見ながら、相手の国の文化や歴史、そして暮らしを語り合い、想像し合ったように、「Indigo:Sharing blue」の空間が、ふたつの国の新しく豊かな出会いの場となるように願っています。

ナガサキリンネ 松井 知子

Indigo:Shairing blue

「Indigo:Shairing blue」は、日本とオランダ両国の「藍染め」の歴史を探りつつ、新しいプロダクトの可能性を探るリサーチプログラムです。この夏4人のオランダ人クリーエーターが、九州の藍染め職人のもとで技術を学び、染めを施し、オランダに持ち帰った素材が、ファッションやインテリアなどの作品となり戻ってきます。出島で新しく復元された部屋で、オランダと日本をつなぐ、新しい藍染の作品をお楽しみください。この特別展は、オランダ×九州プログラムのひとつです。

会期
11/5日(土)10:00〜17:00
11/6日(日)10:00〜16:00

場所
出島( 国指定史跡) 内『乙名詰所』 10月末 復元公開スタート

入場料
出島( 国指定史跡) は、入場料一般510円 但し長崎市民のみ「広報ながさき10月号」添付のクーポンで無料。
その他はナガサキリンネのDM&フライヤー提示で団体料金410円となります。

参加クリエーター
-Adrianus Kundert  http://www.adrianuskundert.com/#ripeningrugs
-Aliki van der Kruijs http://www.alikivanderkruijs.com/wp/
-Lisalore Frowijn http://www.liselorefrowijn.com
-Maaike Gottschal http://www.textielfabrique.nl/

共同開催
Crafts Council Nederland

協力
長崎市文化観光部 出島復元整備室、DutchCulture ‘Holland×Kyushu’、オランダ大使館、長崎バス観光開発振興基金

担当スタッフ
松井 知子(List:

プログラム報告会
6日(日) 13:00~14;30  展示会場内 参加費無料
– プログラム主催 Crafts Council Netherland クラフトカウンシル代表 Marion Poortvliet による活動とプログラムの説明。九州の受け手「宝島染工」代表・大籠千春氏と、久留米絣「下川織物」代表・下川強臓氏を加えての、当プログラムの報告会です。

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