お茶にこめる、土地の記憶。
〜11/5 「くらしをつなぐ、そのぎ茶話ワークショップ」に寄せて〜



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東そのぎの茶のルーツ

古くからの茶産地・東そのぎでつくられている現代のお茶のルーツは、江戸時代、幕末の頃までさかのぼる。「茶」は1858年、ペリー来航(1853年)の後に締結した「日米修好通商条約」で外国貿易の輸出品目となるが、長崎ではそれよりも一足早く、製茶輸出の萌芽が現れ始めていた。長崎の女商人・大浦慶が、オランダ人を通じて茶の見本をイギリス・アメリカ・アラビアへ送り、イギリス人茶商から大量の注文を受注。1853年、東そのぎも含む九州各地から6トンものお茶を集め、アメリカへ輸出していたのだ。
以後、明治から大正にかけ、国外輸出に対応できる数量・品質を生み出すための茶園の造園整備、茶機械の開発などが進み、茶の現代の形の基礎が築かれていった。

川原慶賀の彼杵の絵

川原慶賀の彼杵の絵

 

それから月日は流れ、150年余り。
2016年現在、成熟期を過ぎた茶業界には、新たな可能性が求められている。

 

「TSUNAGU SONOGI TEA FARMERS」〜可能性を秘めた、5人のお茶〜

東そのぎは大村湾に面した土地で、大村湾に注ぐ「彼杵川」を挟んだ両脇に2〜300m高の山々が、峠を越えて嬉野まで連なる地形となっている。大村湾からは暖かい南風が吹き、冬場の冷たく乾いた北風は山並みによって柔らげられるため、一年を通し気候は温暖。自然も人も、過ごしやすい環境である。
そんな東そのぎの環境の中でも、お茶農家はさまざまな土地に茶園を所有しており、そこには自ずと違いや個性が表れてくる。今回、私たち「TSUNAGU SONOGI TEA FARMERS」が、ナガサキリンネでお出しするお茶もしかりだ。
立ち昇る香りから味わいまでが、滑らかな美しい波を描く〈中山茶園〉の「さえみどり」。目の前に大村湾が広がる土地の、温暖な地形で育ったエネルギーが茶に表れた〈福田園〉の「おおいわせ」。奥深い柔らかさと力強さが絡み合う、表現豊かで艶やかな〈大山製茶園〉の「つゆひかり」。“ブレンドで光るお茶”と云われる所以、秘めたる可能性が垣間見える〈東坂茶園〉の「おくゆたか」。そして、品種の王様らしさと若さの勢いが融合した、活きのいい〈大場製茶〉の「やぶきた」……。5人のお茶それぞれの特長、そして可能性を感じていただければ嬉しく思う。

 

土地の記憶を封じる

茶農家は年間を通して茶の樹を育て、旬の時期に新芽を摘み取り、それを揉む中で、それぞれの土地の個性を肌で感じ、お茶の風味の違いを実感する。香りの立ち方、旨み、渋み、苦味、甘み、コクのバランス、余韻の表れ方……さまざまな動きがあるのだ。経験と記憶の中で、土地の特長を際立たせる品種を選択し、仕上がりのお茶にイメージを膨らませながら、茶樹を定植。それからようやくお茶を揉めるようになるまで、4〜5年の月日をかけ、茶を育てていく、そんな仕事だ。
仕上げたお茶に封をし、保管すること。それは「その年のその土地の記憶を保存すること」につながる。封を切り、お茶を淹れ、ゆっくりと味わうとき……そこに土地の記憶がよみがえり、土地の風味が感じられれば、と願う。そんな立体的なお茶づくりこそ、本来あるべきお茶づくりの姿であるはずだ。

土地に根を据え、茶の樹と同じ環境の中で、いきいきとたくましく育った5人の茶農家が生み出すお茶。お茶にはそれぞれの想いや意識が込められ、土地の記憶と共に封を閉じ、保管されている。ふたたび封切られるのは二十四節気の立冬間近、11月5日……。

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芸術の秋のとりにふさわしいお茶を用意しました。ナガサキリンネでみなさんとお会いできることを、楽しみにしております

TSUNAGU SONOGI TEA FARMERS一同