坂本奈津子|CARIOCA






この町に暮らし続けて


もうすぐ二回目のナガサキリンネがはじまります。
書籍「 ナガサキリンネ 」も、着々と準備がすすめられています。
その中で、私が担当させてもらっているのは、書籍の表紙、そして
ページの中にある長崎の町のフィルム写真たちです。

「 長崎らしい表紙 」でまず、皆の意見が一致したのは、
長崎カラー。赤と青と白のトリコロールカラーで描くことでした。

長崎の風景、会場でもある出島と美術館の建物、長崎をイメージさせる
石畳等、赤と青の水彩絵の具で描いたたくさんの長崎。
そうして決まったのが、見る人それぞれが想像できるような
長崎のカタチのあつまり。
それは、月や、出島、お皿かもしれません。
石畳、ハタ( 長崎の凧 )に見えることもあれば、
夕日がきれいな九十九島の島々、西の端っこまでいける切符かも。
あちらに歩けば、海が見渡せ、こちらを歩けばどこまでも続く階段と山々。

クラフトだけではない、町全体、島々を含めた長崎を
感じてほしいとおもい描いた色とかたち。

そして、20代から撮り続けていた、長崎の写真。
路地裏で昼寝する猫。どこまでもつづく階段。
造船がある男らしい海。積み木を重ねたように山々に建つ家たち。
修学旅行生がいない眼鏡橋。
普段の長崎の写真がそこにはありました。

写真を眺めていると、時代が変わっても、佇まいも、人も変わらず
有り続ける商店や町がたくさん残ってました。

また、初めて訪れる長崎の写真「ヴォーリズ建築」では、
琥珀ガラスに差し込む光を受けたチャペルで、うつくしく
やさしい光に包まれながらシャッターをきるのに夢中になりました。
大人になってから知る長崎は、感動がひとしおです。
今まで知ろうとしなかったことを詫びながら、今で良かった
とおもう自分がいます。
ナガサキリンネがおしえてくれた長崎。

この町に暮らし続けていても、まだまだ知らない長崎がたくさんです。
喜びや驚きが、「 見つけて 」と手招きしているようです。。

今年のナガサキリンネでも、そんな喜びのかけらを描くことが
できたらと、白い画用紙を前におもっています。



12月14日 carioca 坂本奈津子



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