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たくさんの出会い、気付き、新しい発見
第一回のナガサキリンネではヴォーリズの展示会と同時に「光のめぐみ」と題してワークショップをさせていただきました。沢山の方に参加していただき、本当にありがとうございました。私達は日頃はデスクワークが中心ですので、会場で直接会って、建築への思いや気付きなどをお話しできた事はとても嬉しく、私達もまた沢山の気付き、新しい発見をさせていただきました。
光は空間に生命を与えます
ヴォーリズの建築には光を有効的に用いたものが多く、思い入れも深かったようです。実際私達が見て回った建築にも随所にその思いがみられました。企画展の為に取材で行った長崎活水大学の小チャペル。琥珀色のステンドガラスの空間に入った瞬間、自分の中にある暗い部分にもそっと寄り添い、包み込み、昇華されていくような感じがしました。ヴォーリズは住宅にも琥珀のステンドを使っていますが、それと同時にサンルームなどの日だまりのような優しく暖かな部屋も一緒に作っています。以前旅行で行った北欧の建築も光がとても印象的でした。ある住宅ではやさしい光に包まれ、まるで母親の体内にいるかのような安らぎを覚えました。また、ある教会では、色とりどりの光が降り注ぎ、時間の移り変わりと共に音楽を聞いているような感覚になりました。随所に光を室内に導く為の工夫がみられ、また、その光のあり方も多種多様でした。空間を全て包み込む光、森の中の木漏れ日のような光、神々しい光など。光は空間に生命を与えます。そして、時間や季節と共に移り変わり、雲の状態や光の強さでも変化します。ヴォーリズも北欧の建築家も、人に寄り添うように光に特別な意味をもって建築を作っているのだと思わされます。人と家と環境をつなげる「つなぎ手」としての役割が、建築に携わるものには与えられていることを強く思わされました。それと同時に、この美しい光がいつも変わらず注がれていることに気付かされました。限りある時間の中で「光のめぐみ」をどれだけ見つける事ができるのだろうか? 気付き、見え方が変わった時、日々の暮らしは特別に満ちているように思えます。
ナガサキリンネとわたし
ナガサキリンネは私達の日常に気付きを与え、光を当てるように普通の毎日を特別にしてくれる道しるべに溢れています。当日来た幾人かの友人は「こんなに沢山の作り手が長崎にいたんだ」と驚き、とても嬉しそうでした。私自身ナガサキリンネに関わり、住み慣れたこの街の奥深さに驚かされています。書籍ナガサキリンネを読んだ時にまるで違う町のことのようにさえ思えました。そして、それに関る熱い想いを持った仲間たちを心から尊敬し、誇りに思います。クラフトや食、そして建築は言葉を超えて、そのつくり手やつなぎ手の内面から溢れ出てきたものです。それが響き合い、めぐりつながる時に私達の町や暮らしは豊かさをますように思います。
10月19日 HAG環境デザイン 橋口佳代
HAG環境デザイン
http://www.hagkankyo.com/